遺言の必要性

遺言をしておけば
・法定相続よりも遺言による相続が優先されます。
・残された者同士がトラブルを起こすことを未然に防げます。

「遺言」は、自分の財産をどのように相続させたいのか、最終的な意思を伝える手続です。
相続人の間で財産をめぐり争いが起こってしまった、という話を耳にされたことがある方は多いと思います。それまでは仲の良かった兄弟、姉妹が、相続財産の争いから犬猿の仲になってしまうのは大変残念なことです。

遺言を作成しておいたほうが良い方

  • 子供がいないご夫婦
    (例えば、夫が死亡した時に、全財産は当然妻が相続するもの‥、と思われている方は意外と多いのではないでしょうか。夫の親が生存していれば残された妻と親が相続することになります。親がいない場合でも夫に兄弟がいる場合は、残された妻と兄弟が相続することになりますので、妻だけに全財産を残したいと考えていても、遺言書がないとそれは不可能なことになります。)
  • 内縁関係(婚姻はしていないが、一緒に暮らしている方)の相手に財産を譲りたいとお考えの方
  • 相続関係が複雑な方(再婚して現在の妻にも、また、先妻にも子供がいる等)
  • 相続人がいない方
  • 相続権のない方に自分の死後に財産を渡したいと考えている方

遺言を書いてもらったほうが良い方

  • ご両親の老後の面倒を兄弟たちの中でも特に看た方
  • 相続権はないがその方の面倒を看ている方

遺言の種類

遺言には自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言があります。

  自筆証書遺言 公正証書遺言 秘密証書遺言
作成場所 特になし 公証役場 特になし
作成 本人(自筆) 公証人が口述筆記(ワープロ可) 本人(自筆、代筆、ワープロ可)
承認・立会人 必要なし 2人以上の証人の立会い 2人以上の証人と公証人
署名・捺印 両方必要。実印、認め印、拇印どれでも可 本人、証人、公証人の署名・実印による押印が必要 本人(遺言書・封書に署名・押印)、証人・公証人(封書に署名・押印)
封印 必要なし 必要なし 必要
秘密保持 できる 遺言内容、遺言の存在が知られる 遺言の存在は知られるが、内容は知られない
費用 不要 公証人手数料等 公証人手数料等
※家庭裁判所の検認 必要 必要なし 必要
長所・短所 本人の自由に作成できる。方式、内容によっては無効になる可能性もある。紛失・改竄の恐れがある。 確実に内容保持、保管ができる。費用がかかる。証人、作成準備が必要。 遺言の秘密を守りながら、存在を明確にできる。方式、内容によっては無効になる可能性がある。

※ 公正証書遺言以外の遺言書は、被相続人の死後管轄の家庭裁判所に「遺言書の検認」の申立てを行わなければなりません。検認とは、(1)相続人に対して遺言の存在と内容を知らせ、(2)遺言書の形状・加除訂正の状態・日付・署名等検認の日現在における遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防ぐ手続です。
公正証書遺言以外の遺言書等により不動産等を相続された方が、その遺言書に基づき不動産名義の書替えの手続を行おうとしても、家庭裁判所の検認の証明書がない限りすることができません。

特別方式とは

病気や事故などで死が間近に迫っている場合など、特別な事情に置かれた際に行われる方式です。

  • 危急時遺言
  • 隔絶地遺言

Q&A

Q.遺言作成の用紙は何を使えばよいですか?
A.特に指定はありません。原稿用紙、便せん、メモ用紙でも可能です。
Q.文字は何でもよいですか?
A.特に指定はありません。漢字、ひらがな、カタカナ、ローマ字すべて使用可能です。
Q.押印は何でもよいですか?
A.特に指定はありません。実印(印鑑証明)、認印、三文判、拇印どれでも可能です。サインは認められません。