企業法務Q&A

法務問題の場合、似た内容のご質問であっても、相談者様の置かれた状況などにより、答えが異なる場合も少なくありません。本やインターネット上の情報を鵜呑みにせず、まずはご相談ください。

雇用関連

Q.仕事上のミスが多い従業員を解雇することができますか?
A.仕事をする上での能力に問題がある場合は、普通解雇の対象となり得ます。
ただし、就業規則上に普通解雇の定めが必要であり、その上で、解雇に客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当と認められない場合には、解雇が無効とされる場合がありますので注意が必要です。
業務全体にどれほどの支障があるのか、当該従業員の適性から他の業務に転換できないか、教育によって改善の見込みがないかなどを踏まえた上で慎重に判断する必要があります。
Q.遅刻が多い者を懲戒解雇することができますか?
A.遅刻は、決められた就業時間内に労務を提供するという労働契約の履行がなされていないということになりますので、懲戒解雇の対象となり得ます。
ただし、就業規則上に懲戒解雇の定めが必要であり、その上で、解雇に客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当と認められない場合には、解雇が無効とされる場合がありますので注意が必要です。
懲戒解雇の対象となる遅刻の程度は、一概に回数だけでは判断できません。業務に支障を来す程度、職場秩序に与える影響、本人の改善の見込み等から総合的に判断する必要があります。
Q.従業員が休日、酒に酔った上での喧嘩で相手に怪我をさせてしまった場合、この者を懲戒解雇できますか?
A.この場合は休日の行為ですから私生活上の行為ということになります。本来、懲戒解雇は、職務規律に違反した労働者を対象とするものです。私生活上の行為を理由として解雇できるのは、犯罪や道徳的・社会的に見て不名誉な行為によって会社の名誉や信用が著しく傷つけられた場合などに限られます。したがって、この点について慎重に判断する必要があります。
Q.従業員が行方不明になってしまった場合は、解雇の手続はどうしたらよいですか?
A.従業員が行方不明の場合には公示送達の手続を採ることができます。詳細はお問い合わせください。
Q.試用期間付きで採用した労働者の本採用を拒否したいのですが、どのような場合に拒否できますか?
A.試用期間付きで採用した労働者に対し本採用を拒否することは、解雇と同じことになると解されています。このため、本採用を拒否するためには、ア採用時に分からなかった事実が試用期間中に分かった場合で、イその事実によって本採用を拒否することが社会通念上相当であることが必要です。
Q.セクハラの加害者のみを労働審判手続で訴えることはできますか?
A.労働審判手続の対象は、個別労働関係民事紛争すなわち労働契約の存否その他の労働関係に関する事項について個々の労働者と事業主との間に生じた民事に関する紛争です(労働審判法1条)。
例えば、解雇や賃金などの支払に関する紛争などはこれに当たります。これに対し、集団的な労使関係に関する紛争や、加害者個人のみを相手方とするセクハラなどの紛争は対象となりません。
したがって、セクハラの加害者のみを労働審判手続で訴えることはできないことになります。
Q.退職金は2年で時効にかかってしまうのですか?
A.退職手当の請求権の時効は、5年と定められています(労働基準法115条)。
なお、退職手当を除く賃金、災害補償その他の請求権の時効は2年とされています(同条)。

会社設立関連

Q.会社にはどのような種類がありますか?
A.株式会社と持分会社があります。株式会社は、経営に参加することができない多数の出資者から資金を集めて大規模な事業を行うことが可能な法的機構を採る会社類型であるのに対して、持分会社とは、相互に人的信頼関係を有する比較的少人数の社員が自ら事業を行うことを予定した法的機構を採る会社類型です。
Q.持分会社にはどのような種類がありますか?
A.合名会社、合資会社、合同会社があります。これらは、会社の構成員たる社員の責任の態様の差による違いです。合名会社は全て無限責任社員から、合資会社は無限責任社員及び有限責任社員から、合同会社は全て有限責任社員から構成されます。
ちなみに、株式会社は全て有限責任社員から構成されます。
Q.合同会社と株式会社はどう違うのですか?
A.合同会社も株式会社も全て有限責任社員で構成される点で同じです。しかし、合同会社においては、社員間の人的信頼関係が強いことが前提とされ、それゆえ、株式会社に比べ、機関設計、損益や権限の分配等の点で広く内部自治が認められています。
Q.有限責任事業組合(LLP)とは何ですか?
A.創業を促し、企業同士のジョイント・ベンチャーや専門的な能力を持つ人材の共同事業を振興するために、民法組合の特例として、出資者全員の有限責任、内部自治の徹底、構成員課税の適用という特徴を併せ持つ組合組織です。
Q.合同会社とLLPとはどう違うのですか。
A.合同会社もLLPも有限責任、内部自治の徹底という特色を有する点では共通です。しかし、合同会社には法人格がありますが、LLPには法人格が認められていません。この法人格の有無によってLLPの場合には、構成員課税が認められるという特色が導かれます。
Q.株式会社はどのようにしてつくるのですか?
A.次の流れになります。
ア 定款をつくる(法務局・公証人役場で相談する)
   ↓
イ 会社印をつくる
   ↓
ウ 定款認証を受ける(公証人役場で行います)
   ↓
エ 資本金を銀行に振り込む(1円でもOKです)
   ↓
オ 登記申請する(法務局で行います)
   ↓
カ 会社設立
Q.株式会社をつくるのに最低いくらくらいかかるのですか?
A.定款認証時に公証人役場で、印紙代4万円、定款認証代5万円、謄本交付手数料約2000円が、登記申請時に法務局で、登録免許税が15万円、印鑑作成代が約5000円、資本金が1円、合計約25万円が必要となります。
Q.株式会社をつくるのに最短で何日くらいかかるのですか?
A.どのくらいの規模の会社をつくるのかによりますが、定款作成に2~10時間、必要書類作成に2時間、法務局の定款相談に2時間、公証人役場の定款認証に2時間、法務局の登記申請に1時間で、移動時間を入れても24時間、1日あれば可能ということになります。
Q.株式会社において取締役は何人必要ですか?
A.取締役会を設置しない会社では1人でも可能です。これに対して、取締役会を設置する会社は3人必要です。